続き。
「し、しょ、おー!」
「なんだよ気持ち悪いな…」
「じゃーん!見つけましたよ師匠の黒マント!」
「あー…良かったな」
「良かったなって他人事みたいに…まさか約束…」
「覚えてるって、2人でマント着てポーズ取るんだろ?」
「では早速マントを装着しましょう!」
「はいはい…」
「師匠、用意できましたか?」
「で、どんなポーズ取ればいいんだ?」
「あっ、ポーズの前に撮影の準備があるのでちょっと待ってくださいね!」
「え、動画…?」
「よおーしいきますよ!吸血鬼ゼロ、この光のナイト・ウルトラマンゼットの聖なる剣を受けてみよ!」
「ふっ、来いよ」
「やーっ!」
「おっと」
「デヤ!」
「あっ…」
「オラァ!」
「ぐふっ!」
「ふっ、だらしねえな、光のナイト・ウルトラマンゼット!」
「し…師匠、ちょっとタンマ……」
「ちょっとししょおお!設定覚えてないでしょおおお!」
「は?吸血鬼ゼロと光のナイト・ウルトラマンゼットの戦いだろ?」
「吸血鬼ゼロをやっつける光のナイトって言ったじゃないですかあああ!うえええええ!」
「わかったわかった、ちゃんとやるから」
「じゃあ気を取り直して行きますよ…!吸血鬼ゼロ、覚悟!」
「おまえにこの俺が倒せるかな」
「隙ありいいい!」
「うっ!」
「やーっ!」
「ウワーッ」
「さあ、これでどうだ吸血鬼ゼロ!」
「どう……あ、ああ…おまえには負けたぜ!」
「命乞いをするのか、吸血鬼め!」
「えっ?お、おう、命は助けてくれ!」
「もう人間の血を吸わないと誓うか?」
「あ、ああ、誓う」
「では命だけは見逃してやろう、ここを去るんだ、吸血鬼ゼロ!」
「ゼット…」
「ふっ、光のナイト・ウルトラマンゼットか…覚えておいてやるよ…」
「二度と会うことはないだろうがな…」
「吸血鬼ゼロ…さらば…」
「……はいっ!お疲れさまでした師匠!」
「満足したかよ」
「えへへ、おかげさまで…師匠もノリノリになってくれて良かったです!」
「別にノリノリじゃねえけど…」
「贅沢を言えば『覚えておいてやるよ』より『こんな出会いかたでなければ…』が良かったですかね…絆が生まれた的な…」
「ここまでやらせといて贅沢を言えばじゃねえよ」
「魔女とそのお供の黒猫の出番は?」
「えっ、俺おまえのお供だったの?」
「師匠、じゃあ続編を録りましょうか!」
「二度と会わないだろうって去ってったのに続編があんのかよ」
「さあ師匠、お供のネコらしく四つん這いになってください!」
「調子に乗るなよ…?」
「光のナイト・ウルトラマンゼット2」のカオスな撮影現場
「光のナイト・ウルトラマンゼット2」
絆が生まれたはずの吸血鬼ゼロが光のナイト・ウルトラマンゼットの血を吸おうとするシーン
お供の黒猫はかつて自分が倒した闇の魔法使いの生まれ変わった姿だったということが発覚しショックを受ける魔女ゼットのシーン
撮影した映像を確認する2人
「いや~俺に復讐に来たはずだった黒猫師匠が俺と敵の間に飛び込んできて『俺のご主人に手を出すんじゃニャー』って言うところは感動しましたよね」
「そんなシーンあった?」
「来年は何の仮装しましょうかねー?」
「俺もカボチャとか猫とかじゃなくてもうちょっと人間っぽいのがいいかな…」